門徒文芸欄

家郷隆文先生『阿仏尼』を粛粛と講じたりき今にして知る沙門であること
拾ひたる流木埴輪のかたちして小さな窪み胸乳にも似つ
今われの心幼しミキハウスに赤ちゃんの靴下選びてをりぬ
ほころべる夫の布袍の身八口つ口閂止(かんぬきど)めでなおしてやりぬ
お寺より戻れる夫は布袍のまま犬小屋に犬の頭をなでゐたり

鈴木紀子

通話のみのきのうのあればそれでよし檀家詣りの老いのケイタイ
淀みなく浄土を説けぬが当たり前きみは二十(はたち)の住職候補
くじ順に撞きゆく除夜の鐘なれば四囲に流れる響きのまだら
教会の葬列にゐて異教徒は念仏ひとつ心に称ふ
わが知らぬ母のことなど聞かされてお斎(とき)の席の産土(うぶすな)ことば
ふる里の手次の寺の忌に集ふ血縁遠き老い懐かしむ
この味に勝るものなし倅よりの清酒『景虎(かげとら)』今宵飲み干す
石狩の野を走り来て夕景のミュンヘン大橋渡れば住み処(すみか)

鈴木彰

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※皆様の文芸、心よりお待ち申し上げます(響編集局)

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