樺太移住殉難者墓前追悼法要が修行されました

投稿日:2013年6月17日

6月15日午後2時より、江別市やすらぎ苑内にある対雁の碑(いしぶみ)の御前にて樺太移住者追悼墓前法要が行われました。

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毎年6月第三土曜日の午後2時と決められていて、今年も予定通り行われました。当日の朝は雨が降りましたが、午後からはお天気になり、熱い日差しの中で御遺族はじめ関係諸氏が40名ほど集い、江別市とアイヌ協会の追悼の言葉が代読された後、先ずは碑(乗佛本願生彼國の碑)の御前にてご法要が行われました。

その法要の今年の「表白文」をご紹介させていただきます。

敬って
大慈大悲の阿弥陀如来の御前に申し上げます
本日ここ対雁の碑(いしぶみ)の御前において遺族はじめえにし深い人々とともに恭しく佛前を荘厳し 樺太アイヌ強制移住殉難者の追悼墓前法要を お勤めいたします

   顧みれば
1875年明治8年 千島樺太交換条約の締結によって 樺太にすまれていた108戸 841名の方々がこの対雁の地に 移住を強いられました
その後 1886年 明治19年 天然痘やコレラが大流行し300名以上の方々がいのちを失い 親を亡くし 子を奪われて 悲惨な現実を目の当たりにして嘆きと悲しみにくれた方は数を知りません

   今日にいたっても
犠牲になられた肉親を思い 朝夕に思い出し 悲しみの中で過ごされている方も少なくありません

   まもなく
事がおきて130年の歴史を刻む今日にいたっても 本国をはじめ世界各国では国同士がにらみ合い 領土問題などが解決されないまま内戦も続き 苦しみと悲しみの中で生活されている人々も 数知れません 誠に残念なことであります

   ここにこの法要を縁として
集われた有縁の皆様とともに手を合わせ
先ずはわれをふり返れば 悪業を重ね 罪深い愚なわたくしであり
諸行無常の娑婆世界に いのちある凡夫である事を ともに再確認いたし

   その上で
犠牲になられた方々を追悼し 歴史を学びつつ ひたすら仏法の導きに従って真の平和な世界の実現に努めますことを

      浄土真宗本願寺派廣間山眞願寺
               第五世 住職 釋 了 正
                      謹んでもうしあげます

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ご法要の最後に、皆様に一言ご挨拶させていただきました

『混迷する世界の中では、内戦や争いが耐えない今日です。その中で、このご法要に参拝させていただき、130年たつ今日でも解決されずにいる事実を学ぶことは、非常に大切なことです。私たちには遺骨の返還問題をはじめ多くの難題もあります。しかし日本では沖縄や北海道をはじめ、世界各国でも領土問題は後を絶ちません。そして世界中には多くの国や人種があり、その中で今日でも差別や偏見、そして人権が失われている方々も多いのではないかと思います。先ずは自己中心的になってしまう業の深き我を見つめつつ、お互いが尊びあえる社会を目指し、みほとけのみ教えを聞く人生を送っていただきたいとおもいます。』

その後、樺太アイヌの方々による慰霊祭と『カムイニミ、イチャルパ』が行われ、終了後に眞願寺にて懇談会が有意義に行われました。

DSC00143眞願寺の開教当時を思うと、その歴史とともに歩んでこられた御遺族の皆様のご苦労は、計り知ることは出来ないと思います。眞願寺を守り続けてこられた歴代住職や門信徒の方々のご苦労とともに、お寺にとって大切なご縁と深く心に刻みつつ、感謝の中でお参りさせていただきました。法要実行委員会の皆様、ご苦労様でした。DSC00142_edited-1