本願寺展を観て思うこと~大沼 峰子

投稿日:2010年9月1日

北海道立近代美術館を会場として、4月17日から5月23日までの37日間、親鸞聖人七百五十回大遠忌の記念事業の一環として、本願寺展が開催されました。多くの方々が足を運ばれ、その文化遺産と美の世界に触れられたことと思いますが、今回は書道に造詣の深いご門徒の大沼峰子さんにご感想を記していただきました。

 

もう二度と拝見出来ない国宝も随分あり、老若男女沢山の人で混雑し、前の方で拝見する事は無理でした。

説明を聴きながら、やっとの思いで聖人様が写経された阿弥陀経だけは立ち止まって拝見出来ました。

当時、戦国の動乱時、宗教の弾圧でお寺は焼かれ、本当に御苦労された事と存じます。まだ、紙などは絹よりも高価であったと聞いております。その上、明るさは今と違い、油を灯した下で写経なさった阿弥陀経は、私共が詠むのにも時間がかかりますのに、写経なさる事はとても御苦労された事と存じます。一心に写経なされたお姿が目に浮かび目頭が熱くなりました。紙質の悪い用紙の裏表に、びっしりと書いたものもあり、もう一つは筆字もはっきり読みとれ、用紙も少し良い様に思われました。物資も豊富に恵まれた時代を迎えた今日、物を大切にしなければならないと存じます。

系図も始めて見ましたし、人物画像のお掛軸など、時代と共に色彩も鮮明になりましたが、現在の様に恵まれた者にとり、植物、樹や石などを砕き擦ったり、随分と手間がかかった事でしょう。大きく書かれた六字の名号すべて拝見するのが初めてでした私には、本当に感銘の深いものばかり感謝一様の気持で拝見出来ました。