院号を付けると「位」があがる?「居士」や「大姉」は?

投稿日:2003年3月1日

法名をいただいていないご門徒が亡くなりますと、導師を勤める住職が、ご門主に代わり「おかみそり」(帰敬式)を行い、法名を授けることになりますが、その際、御遺族の要望で「院号」をつけることがあります。

この院号、実は誤解なさっている方が、多いようです。たとえば「故人の社会的地位に見合ういい名前を」とか「院号や字数が多いほど位が上がる」といった感覚で、院号を希望されたり、お金で院号を買うかのように「院号料は高い!」と言われる方もおられます。もっとも臨終勤行の時に、私達僧侶も「院号はおつけいたしますか?」とお尋ねしますので、それが誤解に拍車をかけているのかもしれません。

浄土真宗のみ教えは、社会的地位や修行の度合いによって死後の「位」が定まるのではなく、信心一つで皆等しくお浄土に生まれることができる教えです。そのみ教えに帰依した人に与えられるのが法名です。ですから法名以外に「霊位」や「位」の字をつけることはしません。また「居士」や「大姉」「信士」「信女」といった言葉も使いません。字数の多少や院号の有無によってくらいが決められるのではなく、皆等しくお浄土という最上の悟りの世界に生まれさせていただくのです。

それでは、院号とは何かというと、仏法を弘め宗門護持に尽くされた人を讃える意味で贈られるものなのです。

具体的には、眞願寺の場合ですと、宗門(浄土真宗本願寺派・京都本願寺)の護持発展に役立てる意味の「院号懇志」を一定額以上納めた方に対し、そのお扱いとして本願寺より永代経開闢法要のご案内とともに、交付されます。

ただ、多くは遺族が故人を追慕する形で懇志を納めますので、遺族の方もみ教えを慶び宗門発展を願う気持ちが大切です。けっしてお金で買うものではありません。
なお、生前に院号を希望される場合は、御本尊にておかみそり(帰敬式)を受け、法名を拝授されていなければなりませんので、ご注意下さい。(法名については次回掲載いたします)