親鸞聖人750回大遠忌についての消息

投稿日:2005年3月1日

親鸞聖人750大遠忌についてのご消息が即如御門主さまより、平成17年1月9日親読発布されました。ここに全文を記載いたします。

ご門主平成24年1月16日は、宗祖親鸞聖人の750回忌にあたります。本願寺では、ご修復を終えたご影堂(えいどう)において、親鸞聖人750回大遠忌法要を平成23年4月よりお勤めすることになりました。このご勝縁に、聖人のご苦労をしのび、お徳を讃えるとともに、浄土真宗のみ教えを深く受け止め、混迷の時代を導く灯火として、広く伝わるよう努めたいと思います

親鸞聖人は承安(じょうあん)3年に御誕生になり、9歳で出家得度され、比叡山で学問と修業に励まれました。しかし、迷いを離れる道を見いだすことが出来ず、29歳の時、聖徳太子の示現を得て、源空聖人に遇われ、本願を信じ、念仏する身となられました。35歳の時、承元の法難により、越後にご流罪となられますが、後にはご家族を伴って関東に移り、人々と生活をともにし、自信教人信(じしんきょうにんしん)の道を歩まれました。晩年は京都で、ご本典の完成に努められるとともに、三帖和讃(さんじょうわさん)など多くの著述にお力を注がれ、90歳を一期として往生の素懐を遂げられました。

親鸞聖人によって開かれた浄土真宗は、あらゆる人々が阿弥陀如来の本願力によって、往生成仏し、この世に還って迷えるものを救うためにはたらくという教えです。南無阿弥陀仏の名号を聞信するところに往生が定まり、報恩感謝の思いから、如来のお徳を讃える称名念仏の日々を過ごさせていただくのです。

仏教の説く縁起の道理が示すように、地球上のあらゆる生物非生物は密接に繋がりを持っています。ところが今日では、人間中心の考えがいよいよ強まり、一部の人々の利益追求が極端なまでに拡大され、世界的な格差を生じ、人類のみならず、さまざまな生物の存続が危うくなっています。さらに、急激な社会の変化で、一人ひとりのいのちの根本が揺らいでいるように思われます。私たちは世の流れに惑わされ、自ら迷いの人生を送っていることを忘れがちではないでしょうか。お念仏の人生とは、阿弥陀如来の智慧と慈悲とに照らされ包まれ、いのちあるものが敬い合い支え合って、往生浄土の道を歩むことであります。如来の智慧によって、争いの原因が人間の自己中心性にあることに気づかされ、心豊かに生きることのできる世の中、平和な世界を築くために貢献したいと思います。

私たちの先人は、厳しい時代にも、宗祖を敬慕し、聴聞に励まれ、愛山護法(あいざんごほう)の思いとともに、助け合ってこられました。この良き伝統を受け継がなければなりません。しかしながら、今日、宗門を概観しますと、布教や儀礼と生活との間に隔たりが大きくなり、寺院の活動には門信徒が参加しにくく、また急激な人口の移動や世代の交代にも対応が困難になっています。

立札宗門では、このたびのご法要を機縁として、長期にわたる諸計画が立てられ、広く浄土真宗が伝わるよう取り組むことになっています。700回大遠忌に際して始められた門信徒会運動、重要な課題である同朋運動の精神を受け継ぎ、現代社会に応える宗門を築きたいと思います。そのためには、人びとの悩みや思いを受け止め共有する広い心を養い、互いに支え合う組織を育て、み教えを伝えなければなりません。あわせて、時代に即応した組織機構の改革も必要であります。

それとともに、各寺各地で勤められる大遠忌法要を契機に、その地に適した寺院活動や門信徒の活動を、地域社会との交流を、そして、寺院活動の及ばない地域では、一層創意工夫をこらした活動を進めて下さるよう念願しております。

宗門の総合的な活動の新たな始まりとして、皆様の積極的なご協賛ご協力ご参加を心より期待いたします。

平成17年1月9日
龍谷門主  釋 即 如

御消息とは手紙のことです。宗門では親鸞聖人や歴代宗主および御門主が僧侶、寺族、門信徒へ宛てた書状のことを言います。この度は親鸞聖人750回忌法要に向けて発布されました。この御消息をいただき法要に向けて、心新たにさせていただくことでございます。当寺も平成20年にお待ち受け法要を予定しております。(住職)